新技術!「マイクロ波減圧蒸留乾燥装置」用いた
魚節フレーバー濃縮エキスの開発について
3社共同開発
日本古来から伝わる食文化「和食」
2013年に日本人の伝統的な食文化としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。その根底には「和食」の源である【だし】が存在します。
【だし】の元となる削り節の原料は、日本各地の産地で昔ながらの製法を用い、手間をかけて作られるものが多く、その手法は伝統文化として長い間引き継がれています。
だしを取るのはほんのひと手間ではありますが、近年は仕事や子育てに時間がかかり、毎日の食事・料理に時間を割けないといった現状があります。
その結果、現在は「だし離れ」が進み、世界では手間をかけて作る【だし】文化は脚光を浴びるものの、一般家庭では料理の基本とならないことがほとんどです。
手間がかかるだし取りを補うため、だしの代替品である便利な化学調味料が普及していますが、それらでは補えない、だし本来の持つフレーバーが多く失わてれいます。
「本物感」の喪失、ひいては食文化を伝承していく上でも支障が生じると考え、本物感のある「魚節フレーバー濃縮エキス」を令和元年度より開発を行いました。
2年かけて開発した「魚節フレーバー濃縮エキス」は原液として強い香りを持ち合わせ、10,000倍以上に希釈しても香りが感じられます。
また、魚節の香りの大きな特徴である焙乾臭を残しつつもPAHs(多環芳香族炭化水素※1)が検出されない、安全性をクリアしたエキスとなります。
- 香りエキスの成分はほぼ水
- 濃縮だしは、ヒスチジン、アンセリン、タウリン、グルタミンなどの旨味成分を含む
※注1:PAHsとは?
多環芳香族炭化水素(英:polycyclic aromatic hydrocarbon, PAH):油や石炭、乾留液(タール)の沈殿物、化石燃料やバイオマス燃料の燃焼の副生成物、鰹節や焼き肉のように加熱処理した食物で見られる。多環芳香族炭化水素のいくつかは発癌性、変異原、催奇形物質である。
提案とこれから
かつお節の香りエキスと濃縮だしを使用することによって合わせる余分な調味料が省くことができ、添加量が少なくてもだしの効果が十分得られ、かつお節の香りと濃縮だしの味を感じることができます。専門家からも一定の評価をいただき「新しいだしのカタチ」を提案します。
食品加工を行う上で調味料は切っても切り離せないものでした。
しかし、今回開発した「魚節フレーバー濃縮エキス」を使うことで余分な添加物が省け、かつおの香りエキスと濃縮だしを使用することで安心感のある商品を製造することができます。
当社でもこれらを使用したアイスクリームは試作販売に向けて現在、東海大学とのプロジェクトを絡めた試作を重ねています。
その他にも、パン、レトルト食品、チーズ、豆腐、醤油、塩、炭酸飲料など、専門家による一定の評価を受けている「魚節フレーバー濃縮エキス」はだしについての興味がもたれ、良さを知り、削り節の消費向上と、だしのステータス向上、ひいては、削り節製造業全体の売上向上が期待されます。
新しいだしのカタチの商品
「ダモンデカリーしずおかだし」
出しのエキスたっぷりのカレーができました!
だし屋西尾商店が東海大学と静岡県工業技術研究所とで2年をかけて開発した、天然由来の鰹節エキスがたっぷり入ったレトルトカレー「ダモンデカリーしずおかだし」
鰹節香りエキス&濃縮だしが入っているのでコクがあり、とても美味しく仕上がっています。ぜひ、「ダモンデカリーしずおかだし」をご賞味ください!